TOCAの目「こぶ志焼きのビアジョッキ」Vol.2

TOCAのオーナーの個人的なお気に入りの道具、日々の中で心に触れたモノなどをご紹介する事で、TOCAがどんな店なのか、どんな感覚の人間がやっている店なのか、ちょっとでもTOCAの事を身近に感じて頂けたらというブログ企画「TOCAの目」。

第二回目はこちら。
DSC_0815
北海道岩見沢の焼き物「こぶ志焼」の創始者である故・山岡三秋さんの作品。
海鼠釉の大振りなビアジョッキです。

焼き物不毛の地と言われていた北海道に1946年に「こぶ志窯」を開窯した山岡三秋さん。
道産の素材にこだわった物作りで礎を築き、「北海道の焼き物」として現代の三代目まで続く窯を作り上げました。
そのパイオニア精神には、大いに惹きつけられる魅力があります。

このジョッキで私が一番気に入っているのがココ。
DSC_0813
「The Beer That Made Sapporo Famous」
札幌を有名にしたビール、の文字の絵付け。
そうです、サッポロビールのこと。
こぶ志焼の初代・三秋さんはサッポロビールの大の愛飲者で「サッポロビール会」というファンクラブ的な会合の会員でもあったそう。
そんな所も、北海道に対する強いこだわりを感じるエピソード。
日本の民窯の器と言われなければ、海外のヴィンテージか何かかな?と思わせるような柔軟な感性が感じられてとても気に入っています。
こちらのビアジョッキは、一般に流通する販売用の作品としてではなく、サッポロビール会の方に回すような私的な用途で焼かれたモノらしく、珍しいアイテムです。
DSC_0814
飲み口の口当たりも良くて、このジョッキで飲むビールは格別美味いです。
この器を使う時は当然、銘柄はサッポロにこだわりたいですね!
いっつも同じグラスじゃなくて、日々こんな風に器も楽しみながら飲むのが至福の時間です。

今日も沢山働いて、栓を開ける。
ビールの泡は裏切らない。
よく働き、よく飲みましょう。
美味いビール、飲んでますか?
DSC_0816

TOCAの目「柳原良平さん」Vol.1

こんにちは。西牧です。
すごく久しぶりにブログを書いてみます。
とは言え、久しぶりだと何を書いて良いものか分からぬもので…
などと考えていて、blogコーナーを作る事にしました。

TOCAの商品は日々Facebookでご紹介しているので、せっかくならHPは違う用途で使いたいなぁ…と思い、ならばFacebookとは真逆にしてTOCAでは扱っていない素敵なモノ達をご紹介していくコーナーにしてみようなんて思いついてしまいました。
TOCAのバイヤーである私の個人的なお気に入りの道具、日々の中で心に触れたモノなどをご紹介する事で、TOCAがどんな店なのか、どんな感覚の人間がやっている店なのか、この視線からこの商品のセレクトね、なんていう風にちょっとでもTOCAの事を身近に感じて頂けたらというコーナーです。ひねりもなく「TOCAの目」と題して。
ただでさえ、何屋か分からないようなハチャメチャなセレクトを信条にやっていて、ワケの分からないヘンテコな店なので、少しでもTOCAのバックボーンみたいなモノに触れて頂けたら大成功〜というブログです。
お店のブログなのに、お店で売ってるモノは紹介しないっていうのもTOCAぽい珍妙さかななんて思いつつ。定期的に更新出来るコーナーにしてきたいなぁと思います。
もちろん、日々、Facebookで更新しております、TOCAの商品紹介もぜひぜひお見逃しなくチェックなさって下さいね。

そんな訳で、さっそくVol.1。
DSC_0845
昭和を代表するイラストレーター・柳原良平さんのリトグラフ。
本当にもう心から大好きで大好きで愛して止まない柳原さんの絵。
絵だけじゃなく人柄というか、たたずまいというか、ご本人のキャラクターも大好きなんですけどね。

トリスウイスキーのトリスおじさんこと、アンクルトリスの生みの親なのはあまりに有名です。
今回、紹介するのはリトグラフですが、これ以外にもアンクルトリスの楊枝入れやら絵本やらを集めたり、柳原さんがパッケージをデザインしてると聞けば、横浜に行ってもいないのに横浜土産のお菓子「ハーバー」を買ってみたり。常に、心の中でおっかけをしている存在であります。

そんな柳原さん、すごく悲しいですが、今年の8月にお亡くなりになった際には大きなニュースになっていたので、沢山の方の耳にも触れた事と思います。
私もそのニュースにひどく落胆して、悲しくて、悲しくて、とてもやりきれなくて、「このやる〜せな〜いモヤモヤの〜」などと鼻歌ルンルンで、神保町の古美術商に走って購入したのが、こちらのリトグラフ。

絵画を購入するなんて、あともう10年ぐらいオッサンになってからでないと自分の身の丈には合わない趣味だなぁなんて思っていましたが、柳原さんの作品となれば話は別です。身の丈に合わなくても、背伸びしちゃいます。
同じ時代に生きる事が出来ていて、今日もどこかに柳原さん生きてるんだな、なんて日々が突然終わってしまったので、どうしても身近に柳原さんの作品を置いておきたくなってしまって手に入れたモノです。
DSC_0847
無類の船好きで知られる柳原さん。
船に関する作品は特に多く残されているので、やはり私も一番柳原さんを感じられる船の絵を選びました。
「H.M.S.VICTORY」という船のリトグラフ。
ザ・柳原良平といった印象の絵でとてもとても気に入っております。

柳原さんの絵の、どこが好きなのだろうか?って考えるのですが、よく分かりません。本当に好きなモノなんて、けっこうそんなものです。
でも、のぺっとした色や柳原さんの描くゆる〜いキャラクター達をみていると、どうにもほのぼのするんですよね。
何故か分からないけど、無条件で郷愁を誘われるような、実家感とでもいいましょうか。
すごく落ち着く存在です。

「本物なのに、なんかゆるい、コイツ」みたいな感覚って、結構TOCAの目指してる所の根幹にも近いのかななんて思っています。
そんな風になれるように、もっともっと良いモノに沢山触れて、店づくりに還元していきたいなぁ。
DSC_0846
柳原さん、天国から見下ろす、地球の海はどうですか?
真上から眺める船も、きっと良いモノでしょう。
天国では安らかに休みながら、でもたまには素敵な作品を描いて、多くのファンをなごませて下さいね。